2024/04/12 11:05

 こんにちは〜

あたたかくなってくると
くつ下でも目にすることが増える素材
「麻」のことをメモしておきます〜

イラストはリネンのお花(フラックス)。
随時更新・修正もしていきます。

LINEN・RAMIE

麻は人類最古の天然繊維。
実は1つの植物を指すのではなく
長くて強い繊維が採れる植物の総称で、
種類も20種類ほどあり、性質もそれぞれ異なります。
代表的な麻といえばリネン、ラミー、ジュート、ヘンプなど。
その中で、日本で衣料用として認められているのは
リネン(亜麻あま)とラミー(苧麻ちょま)の2種類です。
品質表示ではどちらも「麻」として表記されます。
(その他の麻は「指定外繊維(●●●)」と表記されます。)

ここでは衣料用として認められている麻の
リネンとラミーの特徴を書きます。


⚪︎upsides⚪︎
・接触冷感。
麻は天然繊維の中で「熱伝導性が最も高い」素材です。
触れた瞬間ひんやりした感触が味わえます。
(「熱伝導」というのは、物質ごとに熱の伝わり方を表したもの。
熱伝導率が高い物に触れると、手の熱が物に素早く移動するため冷たく感じます。)

・サラッと気持ちいい。
麻は綿の4倍ともいわれる非常に高い「吸水性」があります。
綿は水分を吸うと溜める特性がありますが、
麻は吸った水分を自然に外に逃がそうとする「速乾性」があります。
汗ばんでも肌にべとつかず、暑い時にも快適に過ごせるわけです。
また毎日のお洗濯も自然乾燥で乾くのも嬉しいポイントです。

・ナチュラルな素材感。
麻は独特のシャリ感と光沢感が魅力。
リネンは繊維が細くて短く柔らかいため、ソフトなシャリ感と深い光沢があり、
ラミーは繊維が太くて長く硬いため、しっかりしたシャリ感と強い光沢があります。
また繊維の性質上「ネップ(繊維のかたまり)」がランダムに入り
天然素材ならではの不均一なテクスチャーが楽しめます。

・丈夫。
麻の繊維は、天然繊維の中で最も強靭。
濡れると強さが一層増す性質があり、洗濯にも強いです。
さらに耐摩耗性もあるため長持ちします。

・汚れにくい。
繊維に含まれているペクチンという糊のような成分が、
汚れを奥まで浸透させるのを防いでくれます。
洗濯で汚れが落ちやすくお手入れがしやすい素材です。
また速く乾くことから、雑菌が繁殖しにくくなるので
清潔に保つことができます。

・天然の抗菌消臭機能。
繊維自体に細菌の発育や増殖を阻止する性質が備わっていて
カビや雑菌の繁殖を抑えてくれます。

・夏は涼しく、冬はあたたかい。
リネン繊維は、中が空洞になっています。
冬は体温であたためられた空気を溜め込み暖かく、
夏は余分な水分や熱気を逃がすことで涼しく過ごすことができます。
繊維自体が熱量を自動で調整してくれる性質を持っているため、
通気性と保温性のバランスが優れている素材です。
混紡もしやすい素材のためウールと混紡して秋冬にも
使用されることが多いです。

・地球にやさしい。
天然繊維である麻は、生分解性のある環境に優しい素材。
また原料となる植物は雑草・害虫にも強く、
水を与えなくても雨と光があれば短期間で生育するので
環境破壊を招かない植物です。
土に育くまれ、土に還るエコロジー時代の繊維として注目されています。

▼downsides▼
・シワになりやすい。
くつ下においては影響はさほどないかと思います。
が、一般的に麻は、
シワになりやすく、シワになると取れにくい性質があります。
曲がった状態で時間を置いたり、洗濯したりすると
そのままの形になってしまいます。
洗濯機を使う場合、脱水による”絞りジワ”が出来てしまうので
シワが気になる場合には脱水を無くすまたは数秒だけにし、
形を整えて濡れ干しすることをおすすめします。

・色落ちすることがある。
汚れが落ちやすいメリットがある
=繊維に色が入りにくいということ。
色が染まりにくい麻は、洗うと色落ちしやすいです。
お洗濯は、色物と分けることをおすすめします。
また洗剤はアルカリ性が強いほど色落ちが激しくなるので
中性洗剤を使うことをおすすめします。
また直射日光に当てると色ムラの原因になりますので
干すときは裏返しにして、日陰か部屋干しがおすすめです。

・縮みやすい。
コットン100%の縮率、約2~3%に対して
リネン100%は約5~10%も縮んでしまいます。
30°以下の水を使い、優しく手で押し洗いがおすすめです。



ちなみに、
最近目にすることが増えてきた「和紙」素材。
こちらは幅1mmから30mmまでのテープ状に切った専用の和紙を
専用の撚糸機でこより状に撚って作られた糸で作られた素材。
和紙の原料は、麻の1つ「マニラ麻」で作られているため、
特徴も麻に似ています。

メリットに
・サラッと涼しい
・コシ/ハリ感
・保温性が高い
・抗菌性/消臭性が高い
・地球にやさしい
・軽い(麻の1/3)
・毛羽が立ちにくい
・紫外線を通しにくい(織り方によって、純白の織物で97.8%~99%遮蔽)

デメリットに
製造過程が多い / 吸水性が高いため色移りしやすい / 価格が高め
などがあります。
今後生産数が増えれば手頃値段で手に入りやすくなって
もっと身近な素材になるかもしれませんね。